東京五輪メダリストの名言がバカすぎる
1年の延期を経て、開幕した……いや、してしまった東京2020オリンピック競技会。連日のメダルラッシュでアスリートの言葉に涙しちゃった方々よ。正気ですか? ヤツらのコメントの酷さを冷静に振り返ってみよう。
文/ダテクニヒコ(実話BUNKAタブー2021年10月号掲載)
諦めなければ夢はかなう根性論
2008年(平成20年)の北京大会以来、13年ぶりに正式種目となったソフトボール。再びエースとしてマウンドに立ち、日本を金メダルへと導いた、上野由岐子投手はインタビューでこう述べた。
「『最後まで諦めなければ夢はかなう』ということをたくさんの方々に伝えられたと思う」
はい、出ました! 負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じ抜くことで、誰でも夢はかなう日本人大好き根性論。
じゃあ、敗北した他の5チームは途中で諦めたんですか? 他のチームの何を知っているんですか?
ていうか、全6チームで優勝って……正直、微妙。
「サムライの気持ちとして『絶対に最後の最後まで諦めない』っていうのがあるんだ、と自分の中で思いました」とコメントしたのはアメリカ合衆国カリフォルニア州生まれでカリフォルニア州育ちのサーファー、五十嵐カノア。日本に住んでから言え。 ……ん!? 両親日本人で日本人の血が流れているから、サムライの心を持っているって? 日本人が全員、サムライの子孫ってわけじゃねーよ。
「絶対に負けない気持ちで臨みました」と言ったのは柔道女子78キロ超級で金メダル獲得の素根輝。
誰もが、そうだろ。
柔道男子100キロ級で金メダル獲得のウルフ・アロンは「練習量は誰にも負けない自信があったので」とコメント。オリンピックに出るレベルの選手なら、全員がそう思っているだろ。
「僕の長所は気持ち。最後まで折れず攻め抜く姿勢。今大会ではそれが生かせてよかった」と振り返ったのは柔道男子81キロ級の永瀬貴規。自分の柔道ってヤツね。でも、勝ったのだから当然、気持ちが折れなかったわけで、結果論でしかないから。
「豪快に勝つことができなかったんですけど、これが僕の柔道です」とコメントしたのは柔道男子60キロ級金メダリストの髙藤直寿。えーと、肩車を変形させた技に自分の名前を付けて「直車」と呼んでみたり、「髙藤スペシャル」なんていう大技を多用したりするスタイルなのに、反則勝ち2回という泥臭い柔道を自分の柔道とは、これいかに。勝ったら何を言っても正当化されると思っている典型ですね。残念です。
「初めてのオリンピック。どう準備したら正解なのかわからなかったけど、自分を信じて戦い抜きました」
と語った柔道女子52キロ級の阿部詩。こちらも精神論かと思いきや、SNSでは「自分のことも相手のことも知り尽くされている中で戦いを支えてくれたのがテクノロジー」って。めっちゃデータを駆使して準備してんじゃん。どっちだよ!……ん? 続きがあった。
「練習で使ってきた映像分析システムとテクノロジーを支えている #インテル さんに感謝です」
はい、チーム・インテルのテクノロジー・アンバサダーとしての仕事でした。スポンサー向けでした。世の中カネだってちゃんとわかっているんだね! 3年後の連覇に期待大!!
柔道女子78キロ級で金メダルを獲得した濱田尚里は地元・鹿児島の子どもたちに向けて「帰省した際には、柔道の楽しさを伝えたい」と笑顔でコメントした。ていうか、「最恐の寝技師」が教える楽しさって……ガクガクブルブル。
一方、「自分は楽しむという気持ちで(オリンピックには)来ていません」と語ったのは柔道男子73キロ級で五輪大会2連覇を果たした大野将平。
「柔道は格闘技。殺し合いをするくらいの気持ちで戦わなきゃ勝てません」
恐いわ。普通に恐いわ。でも、混合団体で負けたということは、死んだわけだよね? それなのにまだ柔道を続ける気なのかな?
誹謗中傷に過剰反応して炎上!
とかく精神論を振りかざす柔道陣とは対極にあったのがスケートボード選手。日本史上最年少で金メダルを獲得した西矢椛は13歳のため、無観客でも母親が帯同できたという。
「身近に家族がいてくれたので安心しました。家族や周りの人が『大丈夫だよ』と言って支えてくれたから1位になれたと思います」
なんかホッコリするね。
「13歳でもオリンピックで金メダルを獲れたので、13歳のみなさんも諦めずに最後までがんばってください!」
いや、普通の13歳は諦めるも何も、まだ何も始まっていないよ!
この快挙を実況していた倉田大誠アナウンサーは、「13歳、真夏の大冒険!」とあからさまに名言を狙いにいったのだが、残念ながら解説していたプロスケートボード選手の瀬尻稜がくり出していた「やべー!」「ゴン攻め」「ビッタビタにはめてましたね」「鬼ヤバいっす」といったチャラコメントのほうが圧倒的にクローズアップされていた。ていうか、ここまでチャラいと、なんていうか、ストイック過ぎる柔道陣に申し訳なくなってくるよ。
見た目にも真面目そうな西矢椛や男子の堀米雄斗が金メダルを獲ったからか、瀬尻稜はこう述べた。
「今までのスケボーって、ちょっと不良のイメージがあったと思うんですけど、これで変わると思います」
ただ、あなたのコメントでチャラいイメージには拍車が掛かったと思うよ。
これに輪を掛けてチャラいというか、パリピみたいなコメントを連発していたのがBMXの解説をしていたプロライダーの勅使河原大地。例えば「ビタ着きれいですね」とか「ガッツリ、ゲシってしまいましたね」とか「オーマイガー! スゲーですよ! ノーリミットです!!」とか。わけがわからない。
何を言っているのかさっぱりわからなかったといえば、フェンシング男子エペ団体で金メダルを獲った、見延和靖。
「東京2020大会を目指すにあたっての合言葉が、『エペジーーン』でした。たくさんの思いが込められていますが、『エペ陣』を伸ばして『エペジーーン』ということで気持ちを込めるのと、僕たちのプレーを見てくださる方にジーンという感動を届けるという意味があります。もし今後、小さな幸せがあったときに『いまエペジーーンがあった!』という使い方をしてもらえたら、エペジーーンの仲間入りです!!」
お断りします。
ここまでアホみたいにはしゃいでいたわけじゃないが「演技を楽しめた」と述べたのは、体操男子個人総合で金メダルを獲得した、橋本大輝。僅差で負けたのが中国の選手だったこともあってか、SNSを通じて「盗まれた金メダルだ!」など、中国語での誹謗中傷が相次いだ。これに対して橋本は「跳馬の点数がおかしいかもしれませんがFIG(国際体操連盟)から正式な採点結果が出ました。減点項目がしっかり明記されています。また、東京オリンピックという舞台で疑惑の判定になってしまう演技をしてしまったことは申し訳ありません。私たちアスリートは……(後略)」
……って真面目かっ!
「(五輪反対派とSNS上で誹謗中傷する人を)見返したいと思って、この1年がんばってきた。そういう人たちに思い知ったかと思ってもらいたい」と語ったのは、体操女子種目別床運動で銅メダルを獲得した村上茉愛。思い知らせるとは…。アスリート様は国民を代表している意識どころか、
敵扱いしてるんですね。
「中国という国に、東京五輪で今までのすべてのリベンジができた。本当にうれしい」とコメントしたのは、
卓球混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼。
その結果……。
「とある国から、『○ね、くたばれ、消えろ』とか、めっちゃDMくるんだけど、免疫ありすぎる俺の心には1ミリもダメージない。それだけ世界中を熱くさせたのかと思うと嬉しいよ」
平和の祭典どころか、隣国へのヘイトを煽る。ネトウヨ選手だったのか!
水谷の相方だった伊藤美誠は個人では銅メダルに。
「勝てたのはうれしいんですけど、正直、悔しい気持ちのほうが大きいかなと思います」とコメントしたが、
あんたが3位決定戦で圧勝した相手はその前に石川佳純をボッコボコにした選手ですから! 先輩にもう少し気を遣った発言をして!!
話を戻して、ネットで叩かれたといえば、瀬戸大也。
「99%金メダルは獲れる」と豪語していながら、水泳男子400メートル個人メドレーで予選敗退したときのコメントが……。
「やっちゃったな」
そのテキトウな感じからして、私生活でもきっとまた、不倫やっちゃいそうだね!
賞金なき五輪を舐め腐ったプロ
今回の大会では、他にも「やっちゃった」選手は数多くいて。例えば体操男子個人種目別鉄棒の落下して予選落ちした内村航平。「選手はそれぞれができることをやって、日本に勇気と感動を届けることしかできない」と言っていたわりには、早々と退場。「お疲れさまでした」というインタビュアーに対して。
「疲れてはないんですけどね(半笑い)」
ヘラヘラすんじゃねぇ!
「(ファンに向けて)土下座しますよ。それぐらい本当に申し訳ないです」
……って、土下座してないじゃん! 口だけかよ!!
「体操はもういいかなぁ」
うん、さようなら。解説とかでも関わらないでね!
圧倒的優勝候補ながら、テニス女子シングルス3回戦敗退の大坂なおみ。
取材陣「残念でしたね」
大坂「はい。プレーできてよかった」
以上、終わり。退場。五輪聖火リレーの最終ランナーとは思えない淡白さだけど、病気だから仕方ないですよね(棒)。
王者ジョコビッチに完敗した錦織圭。
「良い一週間だったと思います。ここまで感覚が戻ってきたのも、すごく久しぶりだったので。いくつか良い試合もできたし。収穫は大きい」
いやいや、五輪を自身の調整に使ってんじゃねぇ! 五輪こそ収穫を使う本番だろ!
3戦全敗で1次リーグ敗退のバスケ八村塁。
「日本はこれからのチーム。
若いので経験を積むことが大事だし、それが次につながる」
自分はNBAに上がったから後は若手に任せる的な発言に聞こえますが。
最終日2位スタートながらメダルを逃した松山英樹。
「マスターズの優勝争いと今日の優勝争い、どちらが緊張した?」との質問に。
「マスターズのほうが比にならないくらい緊張した」
それは言っちゃダメなヤツですよ! 五輪を舐めているってことですよ!!
五輪に思い入れがなさ過ぎる選手がいる一方で、出場するために必死でもがいてきた人もいる。競泳女子の池江璃花子。五輪選考会で勝った際のコメント。
「努力は必ず報われるんだと思いました」
あなたが戻ってきたことで出られなくなった選手は努力が足りなかったということになるけど、いいの?
競泳女子400メートルメドレーリレー後。
「決勝で泳ぐことができて、
すごい幸せだと思う。無事に五輪が開催できて、またここに戻ってくることができて本当にうれしいです」
いや、無事じゃないから。
感染者急増で非常事態宣言出まくりだから。それでも強行したのは米国テレビ放映権のためと言われているが、視聴者数は過去33年間の五輪で最低を記録……。
つまり勝ったのは放映権料をせしめたIOCくらいなんだけど、バッハよ、なんとか言え! いや、言うな! 話が長くなるから!!