家という地獄の空間 家族という凶悪集団
どんなことも越えてゆける家族になろうよと年末に歌っていた人がいましたが、家族ってそんなに良いものだろうか? 家庭内感染、DV、子供の非行、セックスレス、浮気、離婚、認知症、介護、孤独死、殺人……リスクしかない家族という名の地獄絵図!
文/ダテクニヒコ (実話BUNKAタブー2021年4月号)
家庭内感染は全体の4割以上!
1都7県2府に対する緊急事態宣言が延長されたことで、飲食店に対する営業時間短縮要請、外出自粛の要請、テレワークの徹底などが再び“お願い”として出された。その根拠とされているのは接待を伴う飲食店や会食、職場内での感染が多いということだが、果たして本当だろうか?
11月から12月17日までの東京都内における感染経路の割合が発表されている。それによると接待を伴う飲食店が2・3%、会食が7%、職場内が15%で、合計24・3%なのに対して、家庭内感染は42・8%。実に2倍弱という数字だ。
いわゆる第2波が来ていたとされる昨年7月と8月の家庭内感染者数の合計が1689人だったのに対して、11月と12月の17日までの合計は3376人と、2倍近くに膨れあがった。
誰が何と言おうと、どう考えても、最も危険なのは家だ。家族だ。
それでもステイホームと言い張るなら、マスク着用やアルコール除菌、会食の禁止は外ではなく、“ウチ”で徹底させるべきである。
ステイホームのリスクはコロナ感染だけではない。自治体が運営する全国の配偶者暴力相談支援センターと政府が運営する『DV相談+』に寄せられたDVの相談件数。昨年の5〜6月は前年同期比で約1・6倍の1万7500件、7〜8月も約1・4倍の1万6000件となっている。
子供に関しても、昨年の相次ぐ休校で感情の起伏が激しくなったり、暴言を吐いたり。物や親兄弟に当たり、頭痛や食欲不振、不眠などの身体症状が出ている子供の数が増えたという報告がなされている。
一緒にいる時間の長さが愛を育てるどころか、リスクを高めているだけの家族とは、一体何なのか?
人はなぜ危険でしかない家族を作ろうとするのか?
セックスレスで不倫浮気離婚!
家族を作るのには、まず結婚から。
ポジティブ心理学の専門家であるプリンストン大学のダニエル・カーネマン教授が2006年に『サイエンス』誌に発表した論文によると、結婚している人のうち、不幸を感じている人が23%だったのに対して、独身で不幸を感じている人は21%だったという。
ほぼ同数。結婚しているのに不幸な人のほうがやや多いという結果に。つまり、結婚すれば幸せになれるというのが幻想であるということは明らかである。
結婚式で「おめでとう」というのは皮肉でしかない。
「ご愁傷さま」というのが正しい。それは金銭面でも言えて、結婚情報サイトの調査では、結婚式のご祝儀総額よりも支払い額のほうが多くて赤字だったカップルは半数にも及んだ。
結婚式をした時点で半数の人は金銭的に“負け”だ。
その上、妻や夫になった人が借金をしていたらどうなるだろうか?
19年に金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、単身世代の19・3%は借金があるとのこと。妻や夫の5人に1人は借金を背負ってやってくる。それが2人以上の世帯になると41・8%に増える。2人以上の世帯とは家族ということ。家族を作れば借金も増えるのである。
ちなみに借金などの債務は保証人になっていない限り、借りた本人のみが負うものであって、これは夫婦であっても変わりはないということなのだが、夫が金を持っていなかったら妻が何とかしなければならないのが実情であろう。さらに前記の法律には例外があって、「日常家事債務」に該当する借金に関しては配偶者が連帯してその責任を負うことになる。例えば妻が高級ランチを食べまくって借金を作ったとしたら、食費は該当するので夫も債務を負うことになるだろう。
まあ、お金の問題は仕方がない。金では買えない愛がある。セックスがある。何ならお金を払わずにセックスできる分だけお得だ!……と言い出す人もいるかもしれないが、夫婦のほとんどはセックスレスだ。
16年に発表された「夫婦愛に関する調査」によると30代で47%、40代で59・0%、50代で71・3%がセックスレスである。
では、一切セックスしていないかというとそんなことはなく。19年にコンドームメーカー『相模ゴム』が発表した「ニッポンのセックス2018年版」によると、「結婚相手や交際相手以外にセックスする相手はいますか?」という質問に対し(対象は20代から60代男性)、「特定の相手が1人いる」が16・8%。「複数の相手がいる」が4・3%、「特定ではないが、その相手以外ともセックスしている」が5・3%。その他の「いない」が73・5%だった。
つまり26・5%の男が浮気をしているのである。
ちなみに女性のデータもあるのだが、15・2%。女性も6、7人に1人は浮気をしているという、男からするとショックな数字!?
いずれにしても、これが結婚前であれば何ら問題はない。嫌なら別れれば済むこと。しかし結婚していると離婚という手続きをしなくてはならない。しかも、慰謝料が発生してくる。離婚での慰謝料の相場は50万から400万円の範囲で中央値は200万円から300万円と言われている。不倫や浮気が原因になると慰謝料の額はさらに上がってしまう。少なくとも400万円はかかるだろう。
妻がセックスをしてくれなかったからといって不倫浮気するのはリスクが高すぎる。そんな賭けに出るなら、すぐさま離婚をして、浮いた慰謝料で高級ソープを満喫した方がマシだ。
そもそもセックスレスを理由に離婚できるのかというと……判例はアリ!
最高裁で4年に渡る理由なき性交渉の拒絶が離婚事由になったことがある。
4年も我慢できますか?
一方、セックスがなくても愛情はあるから問題ないと宣う夫婦もいる。しかし、それって相手も同じことを考えているのだろうか?
19年に『日経DUAL』が行ったアンケートによると、結婚している人の69・4%が「離婚を考えたことがある」と答え、11・3%が「離婚を考えて行動に移している」とのこと。逆に「離婚を考えたことはない」のはたったの12・8%。8人中7人は離婚を考えているのである。
結果、15年の厚生労働省の発表によると、離婚件数は約22万件。対して婚姻件数は約63万件なので、単純比率は約35%。3組に1組は離婚している。
つまり結婚したところで3分の1は家族を作れないという無駄、無駄、無駄!
子供を産んだのに殺す不条理!
夫婦仲が悪くても子供ができれば変わる、幸せになるといった話を聞くことがあるが、本当だろうか?
2017年に『キッズライン』がインターネットで行った調査によると、「育児についてストレスを感じる」と答えた母親が全体の91・7%もいた。
育児ストレスでやってしまったことについては「感情的になって子供を殴ってしまった」が多数。他にも「家中の窓を閉めて大声で怒鳴りつけた」や「言うことを聞かずに思わず手が出てしまった」、「涙が止まらなくなった」など。
とてもじゃないが、幸せとは思えない。
家の中だけじゃない。この国は子供に厳しい社会だ。満員電車にベビーカーを持ち込むと睨まれて、舌打ちされる。認可保育園の入園許可はほぼ下りない。都内の閑静な住宅地では保育園建設反対署名が集まるという。待機児童問題は深刻だ。
何とかして小学校に入れたとしても、登下校の声がうるさいと騒音問題が起こり、運動会の前などは父兄が一軒一軒頭を下げて回らなければならないという。
お金の問題も頭を悩ませる。中学までに約1900万円。高校3年間で約530万円から690万円かかる。大学は教育費だけでも約1000万円。ストレートに大卒で就職したとして、総額3200万円から3500万円かかるのである。
ブラック企業だとわかっていても子供を育てるためには辞められないとしたら、重荷以外の何物でもない。
こうして一生懸命育てたからといって、親孝行してくれるわけでもない。『しらべぇ』の調査では10人に1人の女性がいわゆる「パパ活」の経験があるという。10人に1人の確率で、娘が金のために好きでもない “パパ”のチンコをしゃぶるのだ。
その上、「毒親に育てられた」と思っている女性は18・6%いるというデータもある(男性は13・7%。全国の20代から60代の男女対象)。恩を仇で返す仕打ち……子供なんて産まなければ良かったと思うのも無理はない。
18年度、全国212の児童相談所が「児童虐待相談」として対応した件数は15万9850件。1990年の統計開始以来、毎年増え続けているとのこと。
その前年度、2017年度に虐待を受けて死亡した児童は65人いて、52人は両親やそれ以外の大人から虐待を受けて死亡している。残りの13人は、心中による虐待死だ。
幸せな家族を作るために結婚して、子供を産んだが、つらくて一家心中って、そんな惨たらしいマッチポンプがあっていいのか……。
介護し合う夫婦が殺し合う国!
子供を産む理由のひとつとして「老後の世話をしてくれるから」というのを挙げる人がいる。本当か?
2019年に『国立社会保険。人口問題研究所』が発表した調査によると、親と同居している割合は全体の19・8%しかない。10人中8人の子供は親と一緒に住んでくれない。ほとんどの子供は日々の世話を焼いてくれないのである。
NHKの調査によると、「配偶者がいて、子供もいる」という人の53・3%が孤独死の不安を抱えているというデータがあるが、それも無理はない。
……でも、さすがに介護が必要になったら世話してくれると思っているかもしれないが、甘すぎる考えだ。
20年に厚生労働省が発表した「2019年 国民生活基礎調査の概要」によると、自宅で介護を受けている65歳以上の高齢者のうち、介護者も65歳以上である「老老介護」の割合は59・7%にもなる。
子供の6割は介護すらしてくれない上に、嫌々ながらも仕方なしに離婚せず、夫婦であり続けた者同士が互いに介護しなければ生きられない老後を迎えているということだ。まさに地獄。
ちなみに「要介護」の状態になった原因としては、「認知症」が最も多く、全体の24・3%もある。4人に1人はボケ老人となった妻や夫を老体にむち打って介護しなければならない。これぞ地獄。
さらに夫婦共々、認知症になりながらも互いの介護をしなくてはならない「認認介護」というのも問題になっているようで、いくら何でも、地獄絵図が過ぎる。
それでもまだ相手がいればいいと思うかもしれないが、大丈夫か?
昨年、4月8日、東京都杉並区で介護者である82歳の夫が、認知症を発症していた81歳の妻を包丁で刺殺する事件が起きている。同年4月29日には宮城県仙台市で介護に疲れた68歳の息子が被介護者である94歳の母親を殺害する事件が発生してしまっている。
全国の警察が16年に摘発した殺人事件(未遂を含む)のうち、55%が親族間で起きていたという。また、法務省発表の「犯罪白書」によると1997年から2018年までの間、親族によるすべての殺人事件において「配偶者殺し」の構成比は常にトップであり、全殺人事件における割合は1997年には14%であったのが、2018年には19%まで増えているのである。
つまり日本におけるすべての殺人事件のうち、2割は夫婦間で起きているという、恐ろしすぎる事実。65歳以上に限っていえば、殺人事件の7割が配偶者や子供などの親族間であったことがわかっている(2018年版「犯罪白書」より)。
親や妻、夫の世話をするのがそこまで嫌なのか……殺してしまうほど、嫌だったのか……これのどこに愛があるのか……これのどこに情があるのか……これのどこに幸せがあるのか……。
以上、結婚してから死ぬまで、ひとっつもいいことなんてないのがお解りいただけたかと思う。それでも家族を作って、家庭を持ちたいと願いますか?