ガンダムオタクたちは、あえていわなくてもカスである!
横浜に歩くガンダムが建造され、劇場アニメ『閃光のハサウェイ』が間もなく公開と、ガンダムが盛り上がってるらしい。しかも、その盛り上がってる連中のほとんどは、ファーストガンダム直撃世代の還暦目前のジジイたち。気持ち悪すぎる!
文/まくら瓶 (実話BUNKAタブー2021年6月号掲載)
40年も続いたパクリアニメ
未だ続くコロナ禍の影響で日本のエンタメ業界は風前の灯。そんな中で気を吐くのはアニメばかり。昨年末から放送中の『呪術廻戦』は“第2の『鬼滅の刃』”として大ヒットしている。現在も『シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖』が興収100億を突破目前、4月公開の『名探偵コナン』最新劇場版も100億超えの期待の声が上がっており、もはや日本のエンタメの未来を一手に引き受けている状態だ。
そんな中、今年3月で劇場版公開から40周年という節目を迎えた日本アニメ界の“巨大な山脈”『機動戦士ガンダム』の勢いも加速中だ。最新作『閃光のハサウェイ』の公開を5月に控える中、昨年末に誕生した動く実物大ガンダムを展示する施設「ガンダムファクトリーヨコハマ」には、連日多くの客が詰めかけている。ガンダム人気を支える「ガンプラ」は、年々売り上げが下がり続けるプラモ市場において唯一右肩上がり。その完成度の高さから海外でも人気を博し、インバウンド需要も高いという。
さらには、あの文藝春秋社が「もしガンダム世界に文春があったら?」という“テイ”の書籍『証言「機動戦士ガンダム」文藝春秋が見た宇宙世紀100年』を発売し話題を呼ぶなど、日本社会のあらゆる事象の根幹にガンダムが染みついていると言っても過言ではない程の影響力と存在感を誇り続けている。
しかしこの現状、正直言って違和感しかない。
元々、初代『機動戦士ガンダム』は、ストーリーは『十五少年漂流記』をベースとしつつ、ガンダムなどのデザインは、SF小説『宇宙の戦士』に登場する兵器・パワードスーツの挿絵からガッツリ頂戴している(ガンキャノンの見た目がそのまんま!)。さらに放送2年前に公開された『スター・ウォーズ』の要素を色濃く取り入れ(ビームサーベルはライトセイバー、ニュータイプはフォース…などなど)、ザクⅡの造形は映画『バーバレラ』のポスターイラストを参考に設計したとデザイナー・大河原邦男が述懐するなど、ただの“つぎはぎ”のみで構成されている。
そんな元ネタ探しだけで一冊の本が書けてしまう程に寄せ集め作品を、多くの人が「日本にしか作れない素晴らしい作品だ!」と褒めたたえている現状。正直「私、カルチャーを何一つ理解していないただの大バカ者です!」と喧伝しているようなものだ。ただのパクリだけならまだしも、そもそも作品の出来が陳腐極まりないのも問題だ。
よくガンダムの素晴らしさを語る上で例として挙げられるのが、ジオン公国と地球連邦軍の戦いが、いわゆる単純な勧善懲悪ではなく、互いの正義をかけてぶつかり合う重厚でリアルな物語だという意見。確かにテーマ自体はハードなのだろうが、内容はロボットがひたすらドンパチして登場人物がひたすら観念的な言葉を言って悶々とするだけ。リアルさの欠片もない。常識的に考えて、15歳のアムロ・レイがいきなりロボット兵器に乗って大活躍なんて、ご都合主義そのもの。普通なら即死だよ。
そもそも重厚な作品に、非現実的理論で動くド派手なロボと美男美女だらけの登場人物は必要なのかね?否!! しかも登場人物の誰もが終始、生みの親である監督・富野由悠季による芝居じみたナルシスティックで観念的な言葉(通称:富野節)をただぶつけ合う様は陳腐でとてつもなく気色悪い。まともな教育を受けてきた人なら到底耐えられるような中身ではない。
しかも「(物語や設定は)思い付き。いちいち覚えていない」と富野はかつて語っている。その言葉通り、ファースト以降の宇宙世紀シリーズは続編のたびに無茶な後付け設定が加わっては、そのたびに矛盾の嵐が吹き荒れる。もはや真剣に見るのがバカらしくなるほど、ガッタガタの中身になんの違和感も抱かず、挙句「富野は天才!」と妄信するあたり、ガンダム好きの連中はよほどガンダム(と富野)に飼いならされていると言える。
そもそも、長年続編が作り続けられている理由も、内容の良さからではなく、ただバンダイのガンプラ需要を落とさないための都合だけ。幼児趣味+中二病+商業主義の悪魔合体がガンダムシリーズなのだ。
ネトウヨとガンダムの親和性
このような中身スッカスカアニメを信奉するのは何も低学歴ニートのアニオタだけではない。社会的に地位ある人間すら信奉し、あらゆる場面でガンダム好きは「ガンダムから学んだこと」とやらを押し出して、日本社会に悪影響を振りまきまくっているのだ。まず大きな一例としてネトウヨ的プロパガンダに、ガンダムはよく使われている。
有名どころで言えば、自民党の三原じゅん子が過去に参議院本会議においてヤジを飛ばす民主党議員に「恥を知りなさい!」と一喝した際、オタク系ニュースサイトがこぞって『Zガンダム』にて、カミーユに向かい「恥を知れ、俗物!」と言い放ったハマーン・カーンのようだ!! と褒めちぎったのだ。三原じゅん子と言えば安倍晋三信奉者のネトウヨの御大。そんなアホウの発言を、ガンダム屈指の女傑キャラぽい! というだけで持ち上げる愚民たちは、政治的な正しさよりもガンダム的正しさこそが素晴らしいとでも思っているのだろうか。果たして本当の俗物は一体どちらか?
さらに過去、ニコニコ生放送の自民党特番にて「日本の新たな象徴として、税金で実物大ガンダムを作り“第二の奈良の大仏”にしよう!」とガンダム好きで知られる議員・平将明と丹羽秀樹が真剣に進言。たとえアニメのロボとはいえ日本の象徴に戦争兵器を据えようとするその思考、あまりにも危険。そもそも奈良の大仏は建立の際に財務を圧迫し、国を傾かせたのを知らないのかね? そんな小学生でも知っている知識すら理解できていないガンダムに脳を侵された人間が議員をやっているとは……。ちなみに現在、平は経済産業大臣、丹羽は文部科学副大臣を務めている。そら日本も終わりますわ。
有名なギレン・ザビの演説も非常に問題だ。劇中にて実の父に指摘されるようにギレンのキャラはヒトラーを模しており、かの演説もナチス党大会でのアジそのもの。そんな全く正しくない演説に、声優・銀河万丈の演技もあってか「カッコイイ!!」と熱狂する愚か者が後を絶たない。プロパガンダの危険性を描いた場面にもかかわらず、それをキャッキャと右腕をたかく掲げて「ジーク・ジオン!」と叫んではシャレとして消費する浅はかさ。ヨーロッパで「ジーク!」とポーズをかまそうものなら、即ネオナチ信奉者のレッテルが貼られ、当局に連行の末に拷問は逃れられないだろう。
こうした危険な側面をはらんでいるにもかかわらず「ガンダムから正しさを学んだ」というヤツは、今すぐ参政権を剥奪すべきだ。
ガンダムで学ぼうとするバカ
ガンダムに人生を捧げてきた連中は、物事を計る定規がガンダムという指標しかないため、何もかもガンダムを軸に考える傾向にある。その大きな一つとして、日本の科学技術促進の妨げ。ここにもガンダムは深く絡んでいる。
今も世界中で研究・開発が続けられているロボット技術。中国やアメリカ、韓国がドローンやAIの革新を進める中、日本はガンダム世代の技術者が多いためか「ロボットとは二足歩行で動く」という思想に囚われるあまり、完全に別ベクトルへと突き進んでいる状況。
富野自ら「“ガンダムの世界”は非現実的。だってアニメだもん!」と語っているにもかかわらず、バカの一つ覚えのように二足歩行ロボづくりにこだわり続ける姿に「技術大国・日本」と呼ばれた面影はもはやない。“ロマン”という夢以下の根性論で最先端を目指す姿勢は、間違いなく日本の科学技術発展を妨げている大きな要因の一つだろう。
それは我々一般社会においてもそうだ。近年やたらと、ガンダムに出てくる用語やキャラの思想をベースにしたビジネス本が登場。ざっとタイトルを挙げると、ギレンの演説などから言葉で人をコントロールする仕方を学ぼうという『「機動戦士ガンダム」の演説に学ぶ人心掌握術』、シャアのリーダーシップに焦点を当てた『シャアに学ぶ“逆境”に克つ仕事術』……と名前を見るだけでゲンナリ。一応“経済学者”や“経営コンサルタント”という肩書を持った人間が真剣に「ガンダムには社会を良くするヒントが隠されている」と書いているという地獄。たかだかアニメで社会の何が学べるというのか?
中でもヒドいのが、サラリーマンの姿を装甲も武装も貧弱な量産型MSジムに重ね、ジムの働きから仕事の在り方について考えるという社会学者・常見陽平による『僕たちはガンダムのジムである』。いよいよ無機物から人生訓を学ぼう! というトンデモ理論を振りかざした本だ。中身そのものもジムの装甲のごとき薄っぺらさなのは言うまでもない。
日本の経済が失墜した“失われた20年”は、ガンダムに学んで、世の中を良くしてやる!という妄言を垂らす連中が社会の中軸を担ってしまったことに原因があるだろう。
実社会でも、上司や会社経営者の多くはガンダム世代の団塊ジュニア世代がほとんど。還暦過ぎの死にぞこないジジイが未だにお子様アニメに耽溺し、あげくは「ファーストガンダムこそ至高!」と、ガンダムハラスメントを部下たちにかます光景は地獄そのもの。
メディアに登場するガンダム好き芸能人のクソっぷりも然りだ。例えば『アメトーーク!』の「ガンダム芸人」回に登場した芸人を列挙すると、土田晃之、品川祐、千原せいじと、どいつもつまらない上に口を開けば偉そうに上から目線で説教するような輩ばかり。しかもこうした連中がワイドショーなどでは「ご意見番」として持ち上げられる世の中だ。
街中を見てもガンダムに毒された連中が大暴れ。
現在もゲーセンで稼働中の対戦型アクション「EXVS・」シリーズは、プレイヤー同士の勝敗でケンカが起きたり、負けた腹いせに台を破壊するなどの迷惑行為がたびたび問題として取り上げられている。ゲーマーの中でも特に暴力的なのは、戦争アニメを観て育ったからだろう。ネットを見ても、SNS上では「店にドムに似たブスが来た」などの人の容姿をMSに例えて笑うなどの蔑視ツイートが連日連夜投稿されている。ガンダム好きは人としてのモラルが地の底まで落ちているという良い例だ。
さらに決定的な事件として、バンダイの元社員2人が、お台場に立つ「実物大ガンダム立像」の工事の際に施工業者に水増し発注し、約1000万円を詐取したとして詐欺容疑で逮捕されている。ガンダムの権利を管理する大元の人間ですらこの程度。ガンダムから一体何を学んだんでしょうね?
もはや外に出ようとも、家に居ようとも、ガンダムに精神をやられたスペースデブリの塵の如き連中が支配する状況。我々に逃げ場はないのだ。
日本社会の暗部の髄にまで浸透したガンダムという毒。一刻も早く抜かなければこの国は滅びの道を辿る一方だ。そのためにはさっさとガンダムを卒業し、いつまでもガンダムに耽溺するジジイどもを見かけたら「修正してやる!」とぶん殴ってやりましょう。