お笑い第7世代 キモいしクソつまらない
最近よく聞く『第7世代』ってなんなの? つまんねえくせに、新世代っぽい空気出してんのがウザすぎじゃないですか? さっさと第8世代が出てきて全員駆逐されちゃえばいいのに。
イラスト/中河和典 (実話BUNKAタブー 2021年2月号掲載)
霜降りが言い始めた「7」って何
コロナ禍で若年層の在宅率が上昇したことや、従来の世帯視聴率より個人視聴率を意識した番組作りを各局が進めるなかで、プライムタイムに放送されるバラエティ番組がここのところ急増している。かつてのようにジジババ向けの情報バラエティからスポンサー受けする若い世代向けの番組にシフトしつつあるのだ。そんなバラエティ番組を近年席巻し続けているのが『お笑い第7世代』と呼ばれる若い芸人たち。彼らの多くは20代から30代前半で、ここ数年急激にメディアへの露出を増やしている。
この『お笑い第7世代』、元々は2018年のM—1グランプリで優勝した「霜降り明星」のボケ役・せいやが自身のラジオで「次の年号の世代を『第7世代』と勝手に銘打ち、20代で区切って固まる」と言い出したことがきっかけだ。7という数字には意味がなく、ダウンタウンやウンナンがお笑い第3世代と呼ばれていたことにあやかろうとして命名しただけだという。せいやの発言は、同年代の他ジャンルのクリエイターたちを意識しての発言だったようだが、言葉はこの2年で一人歩きし、今では「霜降り明星」を始め、「ハナコ」「四千頭身」「宮下草薙」「EXIT」「ぺこぱ」ら売れている芸人を世代で括る言葉として使われるようになっている。バカな視聴者に向けて、わかりやすいパッケージでアピールしたいメディアにとって使い勝手のいい言葉だったのだろう。
しかし、メディアが持ち上げるほど『第7世代』で括られる芸人が他の世代の芸人と比べて秀でているかと言えば、そんなことはない。たまたま「霜降り明星」や「ハナコ」などの一部の芸人が若くして賞レースで結果を出しただけで、多くは有象無象に過ぎないのだ。『お笑い第7世代』と括られている芸人たちのつまらなさを紹介していく。
芸人と言えば、少し前までは「飲む・打つ・買う」が当たり前。カネや女性にモテることが目的なのを公言する者も多かった。だが『第7世代』は従来の芸人像とは異なる存在としてメディアで紹介されている。「純粋にお笑いが好きで、様々な職業の選択肢があるなか、あえて芸人を志した者が多い」などと思われているのだ。
確かに彼らの一部には、高学歴の芸人も多く、裕福な階層の出身者も多い。事実芸人のくせにポリコレ云々に口出しする意識が高いタレントもいたりする。
しかし「第7世代=純粋なお笑い好き」と言っても品行方正というわけではまったくない。スキャンダルまみれの芸人も多く存在する。
例えば「霜降り明星」のツッコミ・粗品は、大のギャンブル好きだ。先日も、3日間で700万円を公営ギャンブルに注ぎこんで溶かしたことを嬉々としてネットで報告。このままでは、将来裏カジノに入り浸る可能性も高いだろう。
粗品以上にトラブルメイカーなのは『第7世代』の名づけ親・せいやだ。今年6月には文春オンラインに、「ZOOM」で下半身を露出させて自慰行為に耽溺している様を、女性に見せつけていたと報じられている。ちなみにこの報道をめぐり「霜降り明星」が所属する吉本興業は、10月に文藝春秋に損害賠償を求めて提訴。事件後「霜降り明星」は、テレビやラジオで開き直ってネタとして話すことで消化しようとしていたが、まったく笑えないものだった。そもそも「霜降り明星」自体、M—1の優勝も吉本のゴリ押しに過ぎず、歴代王者に比べて面白くないとの声も当時から多い。ツッコミの粗品はただ声がデカいだけで、その周りを動き回るせいやは粗品がピン芸で披露するフリップの代用品にしか過ぎない。
売れっ子は犯罪者とネトウヨ
他にも『第7世代』のスキャンダルは後を絶たない。チャラ男を前面に出した「ネオ渋谷系漫才」で人気の「EXIT」も、多くのスキャンダルの影が付きまとっている。ツッコミのりんたろー。は、かつて「ベイビーギャング」時代、当時の相方が2度の無免許運転での逮捕を理由に解雇されたことで、同コンビを解散している。この時は、りんたろー。自身も事務所に報告しないまま、裁判に情状証人として出廷していたことが判明し、謹慎処分を下されている。
もう1人の兼近大樹はさらにスキャンダル塗れだ。昨年9月に『週刊文春』で、売春防止法違反容疑や窃盗事件に関与した容疑で逮捕された過去を報じられている。報道後、窃盗事件への関与は否定したが、売春防止法違反容疑での逮捕は認め「過去の法律違反を美談にする気も肯定する気もありません」とマジで笑えないコメントを発表している。チャラい外見とは裏腹に、実際は真面目というギャップをウリにして、「コンプライアンスゴリ守り芸人」を名乗っていた矛盾については一切語らないまま。ちなみに兼近は、以前「ぷりずん。」というコンビで活動している。自ら前科があることを仄めかしたかったのだろうか。不良の発想としか思えない。「EXIT」も見た目の良さから女性ファンは多いが、ネタ自体は若者言葉と昔の言葉をテキトーに散りばめただけのもので、実力派コンビも出演するネタ番組に出ていると、そのつまらなさは見ていて痛々しいほどだ。
昨年のM—1決勝で、自己肯定的な漫才や「時を戻そう」などの印象的なフレーズでインパクトを残し、今やテレビに引っ張りだこの存在となった「ぺこぱ」。その芸風は他人をイジったりする従来のお笑いとは異なり、誰も傷つけない優しいネタとして認識されている。
しかし、そもそも批判精神を持たないお笑いなど単なる偽善にすぎないのみならず、芸人という職業の本分すら放棄していると言える。洋邦問わず、芸人や道化師というものはおしなべて「常識人じゃ言えない、権力への批判」を言うことで民衆のガス抜きをしてきた。現代の日本の芸人は、批判そのものを悪とみなすが故に、政権批判などを含んだ強い立場の人間を揶揄したジョークすら言えない体たらくになっている。挙げ句の果てには、体制側の提灯持ちとなっているコンビもいる。
「ぺこぱ」のツッコミ・松陰寺太勇も、ご多聞に漏れずブレイクする前にツイッターで「今年の靖國神社は強い日差しとミストが降り注ぐ中、帝国陸軍が歩いてたり、ドイツ兵が汗だくで座り込んでたりしていました。どこの神社にお参りするより緊張する、それが靖國神社。英霊の安らかなご冥福をお祈り致します」とツイートするなど、体制擁護をやたらしたがるネトウヨ体質を披露している。松陰寺は過去にも「青山繁晴さん聞きながらちょっと8キロ走ってくる」と自民党きってのネトウヨ議員・青山繁晴のファンであることをカミングアウト。「ぺこぱ」自体も一発芸人臭の強いキャラ芸なので、人気が下火になった時には、ネトウヨ文化人として一部の右派メディアで再ブレイクを目論むことだろう。
実力がなくても第7だと売れる
つまらない第7世代芸人はまだまだ多く存在する。
事務所に所属せずフリーとして活動する男女コンビの「ラランド」。2人とも上智大学出身という高学歴だが、ボケのサーヤは、広告代理店で働きながら芸人も続けるという二足の草鞋をウリにしている。芸人という人生だけに縛られない生き方をアピールする様子はいかにも第7世代然としているが、他の女性芸人との共演時には、顔芸や体を張って笑いをとる手法を徹底的に見下し、男芸人ではなく銀行員や商社マンと遊んでいることを自慢するなど、マウンティングに必死な姿勢は見ていて痛々しさを感じさせた。銀行員や商社マンと遊ぶことがマウントになると思う女芸人など第7世代以前のただの時代錯誤な存在でしかないだろう。
ラランド・サーヤとは対象的に顔のコミカルさを前面に出し、体も張る芸風で人気を得たのがガンバレルーヤだ。明らかにオウム真理教の教祖・麻原彰晃を意識した衣装を着ているよしこは、トーク番組でもなんでもコメントに困ると「クソがっ!」の一本鎗。芸があるない以前のレベルの存在だ。
ネガティブなキャラを前面に出して人気の「宮下草薙」も、ネタはどれもコミュ障な草薙が勝手に被害妄想を膨らませて心配しているだけのワンパターンな漫才ばかり。このパターンではブラックマヨネーズの漫才の方が遥かにレベルが高いので、漫才師としての存在価値はないに等しいだろう。
脱力系トリオとして活躍する「四千頭身」も、事務所が芸能界の最大手・ワタナベエンタだから出ているだけでネタ自体はまったく面白くない。有能そうに見えるツッコミの後藤も、両脇の2人が無能すぎるから相対的に有能に見えるだけだ。
ここのところメディアからチヤホヤされる一方の『第7世代』芸人のつまらなさも、最近ではジワジワと世間に明らかになりつつある。今年12月20日におこなわれるM—1グランプリでは、決勝進出者には『第7世代』の姿は1人もいない。準決勝に残ったのも「ぺこぱ」だけで「EXIT」「四千頭身」、「ミキ」「アインシュタイン」「ぼる塾」らは軒並み準々決勝で敗退している。
準々決勝敗退時には「EXIT」の兼近の負け惜しみとしか思えないコメントも話題になった。兼近は自身のYоuTubeで敗退の心境を以下のように語っている。
「M—1の自称お笑いファンが〝意地でも笑わない〟って顔してましたね。〝こいつらのこんなネタで笑うワケない〟って顔で、俺らのこと見てました。奴らはお笑いが好きなんじゃなくて、お笑いを好きという自分に酔っている人たちですから」
賞レースの予選をわざわざ見に来る客の一部には通を気取って、テレビ受けするコンビに冷めた目を向ける人もいるだろう。しかし、過去には「和牛」のような女性ファンからの人気が高いコンビも複数回決勝に進出しているし、そもそもM—1の予選審査は客ではなく、放送作家などのプロの審査委員が務めている。客の反応など良くなくても、ネタの内容次第で通過するケースは十分にあり、「EXIT」が予選の客を満足させるだけのネタをやれなかっただけなのだ。準々決勝で披露した彼らのネタを配信で見てみると、どう考えても決勝に進めるようなクオリティのものではない。あのレベルのネタで決勝に進めると思う時点で勘違い甚だしいと言えるだろう。結局、何を言っても笑ってくれるバカなファンを相手することに慣れきった兼近の勘違いぶりこそ、中身がないのに持てはやされてしまった『第7世代』を象徴していると言えるだろう。
M—1だけでなく、テレビでも『第7世代』の出演する番組は短期間で終了している。今年4月に始まった『第7キングダム』は、「霜降り明星」や「EXIT」らが出演していたが、わずか3カ月で打ち切り。さらにその後枠の『お笑いG7サミット』も3カ月で終了している。過去には「霜降り明星」、「ハナコ」、「四千頭身」が騒がれる前にレギュラー出演していた『AI—TV』も、半年で打ち切りになっているので、もともとテレビで人気が出るほど面白い芸人たちではないのだ。多くの視聴者も『第7世代』という枠で無理矢理プッシュされている芸人たちのつまらなさに気付きはじめているようだが、メディアによるゴリ押しは当面の間、続くのだろう…。テレビが『第7世代』芸人と一緒にオワコンになる日も近い。